11/3(日)に、池袋のサンシャインシティで開催された技術書典17に、オフライン出展してきました。
準備から、展示、成果の報告です。
目次
進行
制作の進行です。
6/23 プロジェクト作成
6/23に、ReVIEWのプロジェクトを作成して、制作を始めました。会場で、本の内容に興味を持ってくださったお客さんにもオススメできる入門本を模索していたのですが、構想が間に合わず。新しいバージョンが出たり、ゲームジャムに参加して知見も溜まっていたので、Godotの研究ノートの続編でいくことにしました。
今回も、TechBoosterさんのReVIEW-Templateをひな形にしました。この辺りについては、以下の記事にまとめています。
- 【Windows】Re:VIEWで書籍用のPDFを作成する - tanaka's Programming Memo
- 【Windows】Re:VIEWの校正環境を構築する - tanaka's Programming Memo
- Docker環境のRe:VIEWで任意のconfigを指定してrake pdfを実行する - tanaka's Programming Memo
この手順で、新しいプロジェクトを作成して、前回の書籍のコンフィグなどを移植すれば、プロジェクトのできあがりです。
8/5-10/4 執筆
プロジェクトを作ってからしばらくは、気づいたことをメモする程度でした。8/5に、書きたい内容を並べて、目次を書き始めました。
8月から9月上旬までは、思いついたり、調べたことを、散発的に書いていました。本格的に書き始めたのは、9月中旬からです。ここからは、ほぼ毎日何らかの記事を書いていきました。それから3週間ほどで、草稿を書き終えました。
10/5-10/13 草稿完成と仕上げ
草稿ができたら、推敲と画像の作成です。スマホにPDFを入れて、電車の移動中などに推敲をします。自宅に戻ったら、画像のスクショとサイズ調整を進めました。
以下のようなことをやりました。
- スクリーンショットの大きさ調整
- PDFを確認して、スクショの文字が、本文より少し小さくなる程度に調整。スケール指定は使わず、スクショ画像の左右の余白の幅で調整
- リンクのURLの設定
- URLの表示とリンクの設定は、
@<href>{URL}
で良い。ラベルにURLを書くと、自動的に折り返してくれない
- URLの表示とリンクの設定は、
- 改ページ位置の調整
- 図やリストの見出しが、別ページに分かれているような場所があれば、
//pagebreak
で改ページ位置を調整。//pagebreak
タグは、textlintでエラーになってしまうので、最後に調整。エラーにしない方法を調査したい
- 図やリストの見出しが、別ページに分かれているような場所があれば、
- epubのエラー対策
- デフォルトのままepubを出力すると、
/OEBPS/style.css
でエラーが出る。articles/style.css
を開いて、エラー個所(images/html_header.jpgを指定している行
)を消して対処
- デフォルトのままepubを出力すると、
10/14 入稿
印刷は、初参加の時から、技術書典のバックアップ印刷所の一つである日光企画さんにお願いています。出来上がった本は、イベント当日に、直接会場に届けてくれるので、荷物が減らせて助かります。また、前から印刷や後から印刷などのキャンペーンに対応しています。
本文は、前述したTechBoosterさんのReVIEW-Templateプロジェクトで作成したPDFデータを、そのまま入稿しています。
表紙は、RGB形式のPSDで出力したものを、本文とまとめてZIP圧縮して入稿しました。日光企画さんのオンデマンド印刷は、RGB入稿に対応しています。テンプレートは、日光企画さんのWebサイトからダウンロードできます。CMYK形式なので、RGBに変換してから、UnityやGIMPでデータを作成して、PSDにエクスポートしました。
今回は、念願の早割りに間に合ったことで、ページ数が増えても、紙の本の値段は前回と同じにできました。
10/14-11/2 おまけ作業
早めに入稿できたので、本書に関連する作品ということで、ゲームジャムに中途半端なまま投稿してしまった作品の仕上げをしていました。一本は、Kenney Jam 2024 - itch.ioに投稿したMinecart Rails by たなかゆう-TANAKA Yu-です。
Minecart Rails
レールが接続されていなくてもゴールできてしまったり、ステージ数が2つしかなかったりと、もろもろ不完全な状態でした。気づいたバグはすべて修正して、ステージを10個に増やしました。4.2.2で作成していたので、4.3にバージョンアップしました。
インスタンスの受け渡し方や、警告システムの研究は、本作品が土台になっています。改行で変な文字が出力されたことから、ビットマップフォントの使い方を調べるきっかけにもなりました。
STORM OF BALLS
こちらは、Brackeys Game Jam 2024.2 - itch.ioに投稿した作品です。締め切り時間を間違えていたことに、締め切りの30分前に気づいて、未調整なまま慌てて投稿しました。操作説明が不十分で伝わりにくかったり、バリケードがパワーゲージに表示されているのに使えなかったり、パワーアップやミス時のバランスが悪かったりと、散々な状況でした。バグを解消して、未実装だったバリケードを入れて、ボールの動きの改善、ゲームバランスの調整と、かなり手を入れました。
ShapeCastやアニメーションの章は、本作品の成果です。
グラチェン!!
この作品は、「Godotでゆるっと!ゲーム制作祭」に投稿したものです。ゲームシステムや、警告システムの利用方法を模索している時期でした。
ゲームシステムの開発に時間を使ってしまって、ゲーム内容がおざなりになってしまいました。他の2作品と違い、ゲームの核となるアイディアが弱いのが悩みです。中途半端に手を加えてもあまりよくならなさそうなので、改良は見送りました。
10/27-11/2 展示準備
おまけ作業と並行して、展示準備を進めました。最低限のものは揃っているので、新規に用意したのは、新刊の情報や、前回の展示中に欲しいと感じた次のものです。
- 配布用のカード
- 値段表ポスター
- A5本用スマート本棚
- 見本誌のビニールカバー
配布カードと値段表ポスター
表紙もそうですが、画像はUnityで作成することが多いです。Godotの本なので、Godotで作りたいところでしたが、締め切りが迫っていたので、使い慣れているUnityで済ませました。350dpiで必要なピクセル数を計算して、Gameビューの解像度に設定して、Unity RecorderでPNGファイルを出力します。それをLibre Office Writerに貼り付けて、PDFでエクスポートしました。
印刷は、ファミマのネットプリントを利用しました。光沢紙より普通紙の方が発色が好みなので、普通紙を選んでいます。印刷したものを家に持ち帰って、カッターで切って準備完了です。
スマート本棚
見本誌を飾るためのダンボール製の棚を、印刷をお願いした同人工房さんで購入しました。
【日光企画 池袋同人工房ニュース】
— 日光企画 池袋同人工房 (@nikko_ikebukuro) 2024年5月21日
イベントの強い味方![スマート本棚]
同人工房の店頭で販売中!
組み立て式なので
持ち運びも朝の準備も簡単♪
A5本にぴったりの小さめサイズ
[スマート本棚S]もぜひご利用ください#同人工房 pic.twitter.com/1UFBL6xfCq
B5本用とA5本用があって、A5用を購入しました。値段は1,210円(税込み)でした。
パズル本はB5ですが、少しはみ出すだけなので、このサイズで正解でした。
見本誌のビニールカバー
見本誌には、前述の写真のように見本誌カードや、新刊シールを貼りたかったので、ビニールカバーを用意しました。100円ショップのセリアに売っている「テープ付きクリアファイル」を購入して、以下のサイトを参考に自作しました。
透明ブックカバーの作り方!同人誌の見本などにおすすめ。コミケ前でお急ぎの方に!|お絵かき図鑑
1セットに数枚入っているので、A5本用にA4クリアファイル1セット、B5本用にB4クリアファイル1セットで済みました。
見本カードは、自分で印刷したものと、前回の技術書典の手ぶらセットでもらっていたカードを自分でパウチしたものを、はがせる両面テープで貼り付けました。
持ち物リスト
当日の持ち物リストです。
- 既刊本
- 見本誌用のビニールカバー
- テーブルクロス。技術書典16の手ぶらセットでもらったやつ
- 値段表パネル。ファミマプリントでカラー印刷したものを、B4のカンパネに貼りました
- イーゼル。100円ショップで購入。値段表パネルを立てかけるのに利用
- スマート本棚
- スマホスタンド。サークルカードを立てるのに利用
- 配布カード
- 見本カード
- 見本カードを貼り付けるための剥がせる両面テープ
- カロリーメイトとウィダー的なやつ
- 飲み物
- ゴミ袋
- 文房具(カッター、ハサミ、カッティングシート、テープ、ボールペン、サインペン)
- モバイルバッテリーとケーブル
これらを、キャリーバッグと、リュックに詰めて、荷造り完了です。
11/3 イベント当日
設営
いい天候になりました。
開場予定時刻の10分前の9時20分に到着すると、すでに入場できるようになっていました。ブースには、無事に新刊が到着していました。
事前に作っていった新刊用のビニールカバーがピッタリで、早めに入場できたこともあって、余裕を持って設営を終えられました。PCでの実演がないと、準備が楽です。
展示
オフライン展示のメリットは、なんといっても、立ち寄ってくださった方と交流できることです。次のようなことをお話しました。
- 無料で使えるGodotに興味がある
- Unityから移行するとどんな感じか
- ゲームの設計談義
- 手軽なはじめ方(ゆるっと本と公式ドキュメントをご紹介)
- 前作のご感想
デジゲー博が同日開催だった影響からか、ゲーム開発勢のお客さんが少ない印象でした。春に比べると、のんびりできる時間が多く、次回作に向けた構想などを練りながら過ごしました。
以上、展示までの進行でした。
成果
会場での配布や販売数です。
- 配布カードの配布数:5枚
- 新刊のGodot研究ノート2
- 紙+電子版:6冊
- 電子版 :1冊
- 前回のGodot研究ノート
- 紙+電子版:2冊
- 2回前のUnity用のパズル本
- 紙+電子版:3冊
- 電子版 :3冊
オンラインでも、ほぼ同数の本をご購入いただけました。オフラインとオンラインあわせて、紙本の目標販売数である10冊を超えられました。
会場の紙の受注生産メニューは、会場で売り切れるまでは無効にしておく
深く考えずに、受注生産を設定していたところ、そちらでご購入した方がいらっしゃいました。会場では、購入画面の値段だけ見て本をお渡ししていたので、帰宅して、売り上げ管理を見るまで気づきませんでした。
IDがあるので、送付はキャンセルできるかも知れませんが、あちこちにお手間をとらせてしまいます。印刷の予備もありますし、たった一冊のためにご迷惑をかけるのも何なので、そのままお送りすることになりそうです。
本が複数あると、メニューがずらっと並んでしまうので間違えるのはわかります。次回は、会場で紙の本が売り切れるまでは、受注生産のメニューはオフにしておこうと思いました。
まとめと次回に向けて
日程がデジゲー博と被っていたことが影響しているかはわかりませんが、春に比べると、ゲーム開発勢のお客さんが少なかった印象です。それでも、目標の販売数を達成できました!既刊も、ぼちぼちご購入いただいており、嬉しい限りです。ご購入くださったみなさま、ありがとうございます!!今回の新刊は、30冊印刷しました。余り過ぎず、なくなりもせず、丁度よい数でした。
前回も今回も、既刊本の在庫をすべて持って行ったのですが、数部あれば十分だと展示中に気づきました。本の種類が増えたらどうしようかと考えていましたが、既刊本の数を減らせばよいだけでした。
配布カードは、全ての本を載せたサークル紹介のチラシ1種類にした方が良いかもしれないと感じました。3種類もあると、どれを持っていったら良いか迷われますし、一枚一枚取るのが面倒そうで、ご負担をおかけしてしまいました。
以前から、なんらかの技術を試せる手引きのような書籍を出したい、と考えているのですが、構想がまとまらず現在に至っています。お客さんから、Godotの実務的な使い方や考え方を手っ取り早く知りたい、というお話をちょくちょく伺いました。そういう切り口なら、既存の入門本と違う切り口で書けるかもしれません。また、シェーダーを調査する予定があるので、その入門を書くのもよいかもしれません。次回こそ、はじめてのなんとか系の本をラインナップに加えたいものです。
紙と電子本のセットは、2024/11/17(日)までご購入いただけます。電子本は、オンラインでいつでもご購入いただけます。ご興味があれば、よろしくお願いいたします!!